化粧品・医薬部外品のパッケージなどで表現できる効能・効果
化粧品の定義とは?
1-1. 薬事法から薬機法へ
化粧品や医薬部外品、医薬品などは人の健康や美容に直結する商品です。そのため一定のルールをつくり、製品の品質や安全性を確保していました。1943年の薬事法により化粧品や医薬部外品などのルールが運用されてきましたが、2014年に「薬機法(医薬品医療機器等法)」へと法律が改正。この改正によって一般用医薬品のインターネット販売が可能になりました。そして薬機法という新しいルールのなかで、化粧品や医薬部外品、医薬品などが製造されるようになったのです。
1-2. 化粧品の定義とは?
薬機法による化粧品の定義は「まず人の体を清潔に保ち、美しく見せ(美しくなることにより魅力を増し)、皮膚や毛髪を健やかに保つもの。さらにその効果が穏やかなもの」という内容となっています。医薬品のように病気を治したり、医薬部外品のように目的に対する有効成分が入っている商品ではありません。
1-3. 医薬部外品の定義について
化粧品は皮膚や毛髪などを清潔に保ち、その効果がおだやかなもの、という定義があります。では医薬部外品の定義はどうなっているのでしょうか?医薬部外品は「厚生労働大臣が効能・効果を認可した有効成分が一定の濃度で入っている商品(機械器具等ではないもの)」ですが、その効能が穏やかなものとされています。厚生労働大臣が効能や効果を認めた有効成分には以下のようなものがあります。
- コウジ酸
- プラセンタエキス
- リン酸 L-アスコルビルマグネシウム
- エラグ酸
- アルブチン
- カモミラET
- トラネキサム酸
- 塩化レボカルニチン など
医薬部外品の化粧品は化粧品と医薬品の中間にある商品といえます。
化粧品で気をつけたい表現
2-1. 化粧品は外見を美しく保つもの
化粧品は医薬部外品とは違い、目的に対する有効成分は配合されていません。人の見た目を美しく、肌や毛髪を健やかに保つものという定義から、人の肌や毛髪を内側から劇的に若返らせることはありません。ところが自社製品を売りたい一心で、過激で違法な表現をつかうことも。ではどのような表現がNGなのでしょうか?
2-2.効能をうたってはいけない
化粧品には有効成分は含まれていませんので、薬効をうたうことはできません。
例)・ニキビが治ります ・肌が白くなります ・シワが消えます ・肌が内側からふっくらします
化粧品以外にもシャンプーやリンス、ボディソープなども薬機法に該当しますので「このシャンプーでみるみる髪が増えます」「あっという間に白髪が減ります」「10年前のお肌にもどります」など、さも薬効があるような表現はアウトです。
2-3. 許される表現の範囲
薬効のない化粧品ですが、ではどのような表現であればOKなのでしょうか? 化粧品に認められた56種類の効能があり、この表現の範囲であれば問題ありません。
例)肌を整える、肌のキメを整える、肌荒れを防ぐ、皮膚にうるおいを与える、皮膚の乾燥を防ぐ、乾燥による小ジワを目立たなくする、など
医薬部外品の化粧品で注意すべき表現
3-1. 配合された有効成分により薬効が謳える
医薬部外品は目的に合わせ、薬効が証明された成分が一定量配合されています。そのため配合された成分に合った薬効をパッケージに表示することができるのです。もし美白効果のある化粧品であれば「メラニンの生成を抑えることにより、日焼けによるしみ・そばかすを防ぐ」、殺菌効果のある有効成分であれば「有効成分が皮膚を殺菌」という効能を表示することができます。
3-2.医薬部外品でNGな表現
美白成分を配合した化粧品であっても、誇張された表現はNGになります。
- この1本でお肌の色が明るくなります
- できてしまったしみをなくす
- そばかすの美白に効果あり
- 肌本来の白さがよみがえる
しみやそばかすを消す効果は、たとえ医薬部外品であっても認められていません。
高齢者が増えていることでアンチエイジングを謳う化粧品に注目が集まると予想されますが、このアンチエイジング効果のある化粧品も注意が必要です。「エイジングケア」や「年齢相応のケア」などの表現なら問題ありませんが「10年前の肌にもどる・肌細胞がみるみる活性化する・重力に対抗できる肌になる・肌の老化を防ぐ」など、若返りや老化防止を謳うことはできません。
誇張された表現に注意
4-1. 絶対や間違いありませんなどの表現に注意
上記の問題点のほかにも過激な表現、行き過ぎたキャッチコピーもNGです。「この化粧水で絶対お肌がきれいになります」「1か月使うと間違いなく肌が生まれ変わります」のようにオーバーな表現を使うのも問題です。大きな薬効があるように感じられますが、医薬部外品でも「人体に対する作用が緩和なもの」と定義されているため、過激な表現はNGです。
4-2.化粧品をPRできる範囲は限定的
ネットショップやテレビ通販などで多くの化粧品や医薬部外品が販売されていますが、その表現にはかなり神経を使っています。口コミにも「個人の感想です」という注意書きがつき、消費者が勘違いしないように配慮されています。
4-3.薬機法を熟知すること
化粧品分野にこれから参入しようと考えている企業では、化粧品のPR文にも細かくルールが決まっていることを認識してください。商品を購入してもらうために、過激な表現にならないようにしましょう。化粧品分野に詳しくないときは、OEM生産などで化粧品製造のノウハウだけではなく、薬機法対策を熟知した企業を選びましょう。
まとめ
「ひと塗りすれば永遠に肌が白く明るくなる」そんな化粧品の登場を心待ちにしている方も少なくありませんが、一瞬で肌を白くする化粧品はありません。薬機法違反になるような過剰なPR文やテレビ通販、化粧品販売員を見たらすぐに飛びつかずに「これはおかしいな」と一歩引いて考えてみてください。