【化粧品業界研究レポート】現状/市場・今後の課題は…?
新規事業を立ち上げ、新しい業界に参入するにあたっては、まずその業界がどのような状況に置かれているのか確認しなければなりません。業界分析を行うことで、自社がとるべき戦略や、業界内で目指すべき立ち位置も変わってくるからです。
この記事では、化粧品業界への新規参入を目指す企業の方に向けて、化粧品業界の現状はどうなっているのか、市場にはどんな特徴があるのかをご紹介します。業界が抱える課題と、今後の展望についても併せて解説するので、業界分析の参考にお役立てください。
化粧品業界の現状/市場
化粧品業界の歩み
日本の化粧品業界は戦後、高度経済成長期とともに拡大を続けてきました。そのころの主な顧客層は10~40代の女性が中心です。特にバブル景気のころは高品質・高価格の商品に人気が集まる傾向が強く、化粧品といえば「百貨店で有名ブランドの高級品を買う」というのが典型的な購入経路でした。当時、「売り手」のほとんどを占めていたのが専売の化粧品メーカーです。販売促進では有名な女優や人気モデルを起用して、テレビCMや広告で自社製品をPRするやり方が主流でした。
しかしその後、バブルが崩壊すると化粧品市場は長い停滞の時代に突入してしまいます。そのころの消費者動向を表すキーワードが「節約」です。平成17~24年にかけて、市場規模はほぼ横ばいの状態が続き、高級品よりも低価格・高性能な製品が人気を集めました。
平成25年に入ると、こうした状況に変化が生じます。アベノミクスによって景気回復が後押しされるとともに、インバウンド(訪日外国人)の増加によって化粧品需要が増加し始めたのです。特に中国人観光客による「爆買い」は流行語にもなり、停滞していた化粧品市場に大きな刺激を与えました。平成27年ごろに入るとインバウンド需要の勢いはやや鈍化するものの、未だ国内市場を牽引する要因としてのインパクトは変わりません。
化粧品業界の現状
日本国内の化粧品市場規模は約2兆円です。業界シェアトップは、資生堂や花王といった有名専業メーカーが占めています。
【業界シェア(2017年時点)】
1位:資生堂 35.5%
2位:花王 28.2%
3位:コーセー 11.3%
4位:ポーラ・オルビスホールディングス 10.0%
参考:https://gyokai-search.com/3-kesyo.htm
化粧品業界の今後の課題
化粧品業界の最も大きな課題といえるのが「人口減少」です。景気回復やインバウンド需要によって下支えされているとはいえ、少子高齢化の影響によって日本国内の化粧品市場が将来的に縮小に向かうリスクは決して低いとはいえません。
また、インターネットの発達によって消費者の購買行動が変化したことも業界に大きな影響を与えています。現在はインターネットを通じて化粧品の性能や価格などを簡単に比較できますし、SNSなどで共有される利用者の口コミを元に買う製品を決める人も珍しくありません。かつてのように、広告宣伝費を多くかけられる大手メーカーが販促活動でも優位に立てる時代は終わりました。
こうした課題に対応するため、化粧品各社が注目しているのが海外市場です。世界の化粧品市場は26兆円と国内の10倍以上の規模があります。将来的な縮小のリスクを抱えた国内市場に固執するのではなく、海外市場の開拓に活路を求めようとしているわけです。具体的には、国内ECサイトを通じた外国への越境販売や、海外ECサイトを利用した自社製品の販売、海外子会社の設立といった動きが進められています。購買力のある海外の富裕層や、徐々に豊かになり購買力が高まりつつある中間層が主なターゲットです。
近年では、女性だけではなくスキンケアに関心を持つ男性も増えてきました。消費者は品質や価格はもちろん、安全・安心を求める傾向が強まっており、「自然派」や「オーガニック」といったキーワードに関連する商品が人気になるケースが見られます。
業界分析を行って「競争にさらされないポジション」を探そう
昨今、他業種から化粧品市場へ参入する企業は珍しくありません。既存の事業で培った技術や、自社開発した素材を製品開発に応用しやすいことが主な理由です。そのため、新たに化粧品市場への参入を目指す企業は既存の専業メーカーだけでなく、そうした新規参入の兼業メーカーとの競争にも勝ち抜いていかなければなりません。
もっとも良い方法は、業界分析をしっかり行い、他社と競合しない、自社の強みが活かせるポジションを確立することです。新規参入が増えていても、他社と競合する部分が少なければ苛烈な競争にさらされる心配はありません。
また多くの化粧品受託製造会社で提案・開発・製造出来る様な化粧品は正に競争にさらされやすい化粧品と言えるのではないでしょうか。
自社にとって最適なポジショニングとはどのようなものか、更にそれを実現出来る化粧品受託企業の活用なども是非ご検討ください。