不況知らず?!化粧品業界の魅力・つよみとは?
さらなる成長を目指して、事業の多角化に挑戦する企業は決して少なくありません。成功の可能性を高めるためには、安定的に高い需要が望まれるとともに将来の市場拡大が見込まれる業界を狙う必要があります。
以上のような前提に立ったとき、魅力的な候補のひとつといえるのが化粧品業界です。市場としての化粧品業界にどのような強みがあるのか、化粧品という商品カテゴリにどんな魅力があるのかご説明しましょう。
化粧品は女性にとって必需品
化粧品業界は、伝統的に「不況知らずの業界」といわれています。小売商品を取り扱っていながら、景気の波に売れ行きを左右されにくいのは、なぜなのでしょうか?
その理由は、化粧品が多くの女性にとって「必需品」ともいえる存在であるからです。「一般的な女性の一日」をイメージしてみてください。仕事のある日は毎朝出勤前に必ずメイクを行うはずです。接客業など、職業によっては仕事の休憩中にお色直しを行う必要もあるでしょうし、帰宅して寝る前には肌に残ったメイクを落とし、化粧水や保湿液でケアをしなければなりません。
休みの日や外出しない日であったとしても、肌を若々しく保つためにはスキンケアが不可欠です。そうした肌をいたわるすべての場面で何らかの化粧品が日常的に消費されて続けています。
生活必需品といっても、衣服やバッグなどであれば不況時には買い控えが発生する可能性もあるでしょう。しかし、化粧品には「見栄えを良くする」という仕事の中でも重要な役割があるため、なかなか買い控えが起こりにくいのです。
不況だけでなく有事の際についても同じことがいえます。先の東日本大地震で放射能汚染が始まった頃、東北地方の化粧品売り上げは、一時、大幅に減少しました。しかし、震災からわずか2週間で、被災地の化粧品売り上げ状況が改善され始め、2ヵ月後には震災前の水準に戻ったといいます。このことからも、化粧品がいかに女性にとって不可欠なものであるかということがわかります。
日本の化粧品市場は世界第3位
Euromonitor Internationalが行った調査によれば、日本の化粧品市場は世界第三位の規模とされています。
参考URL:http://globe.asahi.com/feature/memo/2014040400010.html
日本は人口も1億人以上と多く、長年経済の停滞に悩まされてきたとはいえ、世界の中では裕福な先進国のひとつです。女性の社会進出も進んでおり、女性を中心として化粧品を求める需要は多いといえます。
なかには、「少子化によって需要が減少するのでは」と心配する方もいるかもしれません。たしかに少子化によるマイナスの影響は予想されますが、それ以上に現在は中国を中心としたインバウンドの需要増加が見込まれます。日本を訪れる外国人観光客の数は年々増え続けています。日本一国の中で人口が減少したとしても、増加を続けるインバウンド需要を取り込むことができれば市場規模全体を維持、拡大していくことは可能なのです。
化粧品は安さより品質(安心感)が重視されるので、価格割れしづらい
少し視点を変えて、化粧品の消費財としての特徴についてご説明しましょう。化粧品は肌に直接使用する商品なので、価格よりも品質が重視されます。使用しても健康を害することがないよう、多少価格が高くなったとしても安心できる高品質の商品を求める消費者が多いのです。
衣類や装身具といったファッションアイテムの場合、品質よりも価格を重視して商品が選ばれることも珍しくありません。そうした商品は、多少デザインや素材が気に入らなかったとしても、身につけた人の健康を害する心配はないからです。
売り手の目線に立つと、化粧品は「価格割れしづらい商品」だといえるでしょう。価格の安さが重視される商品の場合、売れ行きによっては価格を割り引き、原価割れの状態で販売しなければならなくなる可能性もあります。一方、化粧品は品質さえ高ければ高価格の商品でも売れやすくなるので、値引き販売の必要性に迫られるリスクを抑えられるわけです。
底堅いニーズに支えられた化粧品市場で成長を目指そう
女性にとって生活必需品である化粧品は、不況に強い特性を持っています。特に日本市場は世界でも上位に入る規模を誇り、インバウンド需要に下支えされた安定的な成長が見込まれる有望な市場です。
また、商品としての化粧品は品質が重視されるため、価格割れしにくく、売り手からすると利益を維持しやすい特性を持っています。新規事業の立ち上げを目指している企業の方は、ぜひ一度化粧品業界への参入を検討してみてはいかがでしょうか。