やっぱり日本人の肌に合う!?酒蔵発の化粧品
日本酒というと、肌に刺激を与える物質であるアルコールを含んでいることから、美容の観点からはあまり良いイメージを持っていない方もいるかもしれません。しかし、実は現在、日本酒に含まれるさまざまな成分が美容に良いとされ、化粧品業界で注目を集めているのです。
今回は、日本酒に含まれる成分が肌にどのような影響を及ぼすのか、日本酒を原料として酒蔵が開発に携わった化粧品にはどのようなものがあるのか、ご紹介していきましょう。
いま、酒蔵の化粧品が流行している!
現在、「酒蔵発」の化粧品が増え続けていることをご存知でしょうか?酒蔵の化粧品が流行していることには、次のような理由があります。
近年の健康志向の高まりにより、化粧品の品質や安全性に対する消費者の要求は、より大きいものになってきました。そうした動きのひとつが「自然素材」に対する関心の高まりに現われています。自然素材とは、植物に由来する原料のことです。合成化学物質とは違いもともと自然界に存在するものから抽出されているため、安全を求める消費者から幅広く支持されています。
日本酒の原料は米、つまり植物です。したがって、そこから抽出した成分は自然素材となるため、近年の化粧品ユーザーが抱えているニーズに合致しているといえるわけです。
日本酒に化粧品材料としてのポテンシャルがあるということが知られるようになってからは、多くの酒蔵が化粧品開発に乗り出していきました。実は、酒蔵以外の食品業界にとっても、化粧品開発への挑戦は、食品の製造・販売以外の部分に販路を広げるチャンスです。より安全で高品質な化粧品を求める消費者のニーズに、新しい市場を開拓しようとする酒蔵や食品製造会社が応えるかたちで多くの化粧品が世に送り出されるようになるからです。
日本酒や酒粕が持つ「肌への効果」とは?
具体的に日本酒に含まれる成分が肌にどのような影響をもたらすのかご説明しましょう。美容の観点から見ると、日本酒の成分は「ビタミンとミネラル・アミノ酸・酵素」の3つに大きく分けられます。
日本酒に含まれるミネラルは、原料となる水に由来するものです。多くの場合、日本酒は湧き水を使って作られ、通常の化粧品に使われる水よりもミネラルが多く含まれています。肌細胞の再生を促すとされるビタミンB6も豊富です。
日本酒のうま味の元となるアミノ酸は、肌に含まれる天然保湿因子(NMF)と似た構造を持っています。肌のハリ、うるおいを保つためにも欠かせない成分だといえるでしょう。
酵素とはタンパク質の一種で、日本酒を作る過程で酵母によって生み出されるものです。特に、日本酒にも含まれているチオレドキシンという酵素には、抗酸化・抗炎症作用があることが知られています。肌荒れや老化防止の働きが期待できるわけです。
日本酒だけでなく、その製造過程で生じる麹にも美容に役立つ成分が多く含まれています。麹に含まれる美容物質の例としては、肌の細胞内で水分と油分を保つ作用があるセラミドが有名です。
このように、多くの美容に役立つ物質が含まれる日本酒は、化粧品の原料として非常に大きな可能性を秘めているといえるでしょう。
【事例】酒蔵の化粧品
酒蔵発の化粧品の実例として「雪っこオールインワンジェル」と「ほまれ化粧水」をご紹介します。
▼雪っこオールインワンジェル
https://zettocstyle.com/brand/yukikko/
雪っこオールインワンジェルは、酔仙酒造が製造しているにごり酒「雪っこ」を原料とした美容液です。鉱物油や動物油は一切含んでいません。一品で「化粧水・美容液・クリーム・保湿液・乳液」の役割を果たすため、お肌のお手入れを単品で完了することができます。
▼ほまれ化粧水
https://zettocstyle.com/brand/homare/
ほまれ化粧水は、原料の60%を占める日本酒に、ラベンダーなど植物由来のエキスを配合した高保湿化粧水です。長年肌のくすみとシミに悩み続けていた酒蔵「会津ほまれ」の女将が20年以上の歳月をかけて創り出したという逸話があります。
酒蔵の化粧品開発から学べること
化粧品ユーザーの安全性に関心が高まったことと、異業種への参入に挑戦する酒蔵の意向が合致したことで、今日では日本酒をもとにした化粧品が数多く生み出されました。化粧品原料としての日本酒の活用はまだまだ始まったばかりです。今後はさらに多種多様な方法で用いられていくことでしょう。
日本酒に限らず、今まで当たり前のように存在していたものが化粧品に使われるということは十分に考えられます。化粧品開発のタネは案外身近なところに眠っているかもしれません。