「無添加化粧品」の商品を開発する際に気を付けるべきポイント
化粧品のパッケージを見ているとき、「無添加」という表示を目にしたことはないでしょうか?無添加というと「体に悪い成分を配合していない、優しい化粧品」をイメージする方も多いと思います。
しかし、実際には化粧品の広告やパッケージに「無添加」と表記するためには、さまざまな細かいルールを守らなければなりません。今回は、「無添加化粧品」を作る際、開発者が気をつけるべきポイントをご紹介しましょう。
「無添加化粧品」とは
「無添加化粧品」とは、「特定の成分を含まない化粧品」のことです。化粧品の原料として一般的に使われているものの中には、人体に悪い影響を及ぼすと指摘される成分も含まれています。そのため、そうした一部の成分を含まないとPRすることは自社製品の差別化につながります。
とはいえ、無添加の表記は化粧品の効果や成分の働きについて消費者にあらぬ誤解を与える危険性もはらんでいます。そのため、広告や商品のパッケージに「無添加」と表記できるのはどのような場合なのか、どんな表現が可能なのかは規則によって厳密に定められているのです。
無添加表記で気をつけたいこと
化粧品に無添加表記を行う際に守るべき規則としては、化粧品公正取引協議会が定める「化粧品の表示に関する公正競争規約」と、日本化粧品工業連合会が定める「化粧品等の適正広告ガイドライン」の2種類があります。
化粧品の表示に関する公正競争規約http://www.cftc.jp/kiyaku/kiyaku04.html
http://www.cftc.jp/kiyaku/kiyaku02-4.html
化粧品等の適正広告ガイドライン
https://www.jcia.org/n/biz/gl/01-2/
「化粧品の表示に関する公正競争規約」によれば、「『無添加』の表記を行う際は、配合されていない成分(群)を併記する必要がある」と定められています。つまり、「何が添加されていないのか明記する必要がある」ということです。
また、着色剤や防腐剤などを含まない場合は「防腐剤無添加」のように表記することができます。ただし、たとえばパラベンのように「一般的には防腐剤として使われることの多い成分を安定剤として使用している場合」などは、消費者に誤解を与える可能性があるため、「防腐剤無添加」とは表記できません。
続いて、「化粧品等の適正広告ガイドライン」についてご説明しましょう。基本的には「化粧品の表示に関する公正競争規約」の内容を踏襲していますが、新たに「100%無添加」のようなキャッチコピー的表記の禁止が定められています。
「無添加」で注意すべき主要成分
無添加化粧品を開発するにあたって、特に注意しておきたい主要成分をご紹介しましょう。(記載のある規約・ガイドラインは以下の通りです)
※1:化粧品の表示に関する公正競争規約※2:化粧品等の適正広告ガイドライン
エタノール
エタノールを含まない製品には「ノンアルコール(ノンエタノール)」と表記することができます。(※1)
キャリーオーバー成分
キャリーオーバー成分とは、原料抽出の際に用いられる成分や安定剤・酸化防止剤として使われる成分のことです。キャリーオーバー成分は、化粧品の成分表示に記載する必要はありませんが、「無添加」と表記することはできないので注意しましょう。(※2)
香料・着色料
香料や着色料を使用していなくても、多成分により明らかに香りや色がついている商品の場合、「消費者に誤解を与えないよう注意する必要がある」と定められています。(※1)
パラベン
防腐剤としてよく使用されているパラベン(パラオキシ安息香酸エステル)を含まない場合、パラベン無添加、またはパラベンフリーと記載できます。(※1)
鉱物油
オイルには、動物性油、植物性油、鉱物油があります。鉱物油とは、石油を原料として合成・生成されたオイルのことです。鉱物油を含まない場合、無鉱物油、鉱物油フリーと記載できます。(※1)
アレルギーテスト済み・ノンコメドジェニックテスト済み
「成分」ではありませんが、アレルギーテストやノンコメドジェニックテスト(ニキビができにくいことを確かめるテスト)を実施し、そのことをパッケージに記載する場合、「すべての人にアレルギーやニキビが発生しないと保障するわけでありません」といった注意書きを併記する必要があります。(※1)
「消費者に誤解を与えない表現」を守ろう
無添加化粧品を開発する際に気をつけるべきポイントは、「消費者に誤解を与えるような表現は慎む」ということです。「無添加」という点を差別化のポイントとして強調したいあまり、言葉が大げさになってしまったり、特定の成分や他社製品を貶めるような言い方になってしまったりしてはいけません。あくまで誠実に何の成分を含んでいないのかだけを伝え、それをどう解釈するかは、消費者一人ひとりの判断に任せる、という姿勢を持つことが大切です。